暗くなる情報・レス・ミニマル
今回の主張は、非常にシンプルですが、意外と実践できていない人が多いものです。
あなたは、普段どのような物語を好んで観ていますか?
[1]楽しいもの
[2]スリリングなもの
[3]ドロドロしたものや怖いもの
私たちは、[2]や[3]のようなものを好んで観ているときに、知らず識らずのうちにある影響を受けています。それは、
自分自身が、なんだかイヤな気持ちになっているということです。
例えば、猛烈な勢いで叱責されている部下の映像。
大体のドラマやバラエティ(数年前にも流行りましたね)では、最終回で上司役の人が何かしらの制裁を受けてジ・エンドですが、
私たちの脳は、意外と前半部分の叱責を強く脳に刻み込んでしまう習性があります。
おそらくですが、私たちはネガティブな状態や状況を極端に嫌うという本能が備わっているので、他人(画面上の人間は最大の他人ですね)が叱責されたり怒られたりしているのを観るだけで自分が怒られているように勘違いするのです。
これは、心理学では観察学習と呼ばれます。
例えば、ある幼稚園児Aくんが、せんせいがBくんを叱っている様子を見たとします。
すると、Aくん自身が怒られた経験が全くなかったとしても、「あのときのBくんみたいにおもちゃを片付けなかったら自分もきっと怒られるだろう」と予測して、片付けをしっかり行うというものです。
こうして、私たちは実際の経験を経なくとも、いくつかの失敗をしなくて済んでいるのです。
これは良い例のように見えますが、普段の「ネガティブな映像」は、自らありもしない状態を観察することによって、余計な予測を立てていることになります。
自分でわざわざ暗くなることに、どうか快感を覚えないでください。
タチが悪いのは、この「偽りの快楽」を他人にも勧めることです。
どうせ暗くなるのだったら、勝手に自分だけで暗くなってくださいと言いたいところですが、その暗さが職場や学校で出てしまい、他人の迷惑になってしまうのです。