心理学論文や人間関係的考え方を紹介!

2017.8.16~2020.8.31連続投稿(1,112日)。以降は不定期更新です。

なぜペーパーレスが進まないのか

会議は基本的にMicrosoftPowerPointで良いのに、なぜかハンドアウトを人数分印刷してしまう。

 

メールで送信して、各自タブレット端末で確認した方が早いのに、A4で余白たっぷりの紙媒体で配布される。

 

データで欲しいのにそうやられるから、こちら側でスキャンしてPDF化するという二度手間。それでも上司に直接データでくださいと言うと怒り出す。

 

どれも、圧倒的に、非生産的です。

 

時代は、かつての楔形文字に戻るかのように、ペーパーレスに近づいてきています。この流れは、元々は「紙がそもそもない」という時代から、「紙はあるけれど、ペーパーレスの方が利便性が高い」というものに変わってきているということです。

 

しかし、個々の集団レベルで見ると、意外なほどにペーパーレスは進んでいません。

 

これはいったいどういうことなのでしょうか?

 

データで欲しくても紙で配られるし、こちらからPDFなどのデータで送ってもわざわざ紙で印刷して確認されるのはなぜなのでしょうか?

 

これは端的に言って、「印刷という作業が、仕事した感を醸し出してしまうから」にほかなりません。

 

私たちはもともと、「ものをつくる」ということを仕事と言っていました。

 

ハンナアーレントも、耐久物をつくることを、単なる労働(labor)とは異なる仕事(work)だと論じています。

 

実は、印刷という行為は、特に自分が何かを創作・創造したわけではないのに、「仕事をした」「ものをつくった」という錯覚を私たちにもたらします。

 

目の前で、真っ白だった紙に、データや文書が書き込まれていくのを、さも「全部手書きで作った」かのように認識させることによって、(本当は1ミリも進展していなくても)仕事が進んでいるように感じてしまうのです。

 

これは作業効率を落とすというよりも、本来やるべき仕事の中に入ることによって「作業量」を減らす危険性がありますので、注意が必要です。