仏教から学ぶ「苦」とは?
今回は、仏教についてみていきましょう。
仏教は、紀元前5世紀ごろ、ゴータマ=シッダールタがさとりを達成してブッダ(覚者)となり、その教えを人々の前に説いた時点に始まります。
彼は北インドの小国(現在のネパール領です)で釈迦族の王子として生まれ、ウパニシャッド哲学の影響の下で仏教を創始しました。何ひとつ不自由のない暮らしに虚しさを覚え、29歳のとき妻子を捨てて出家しました。
彼が出家したきっかけがは「四門出遊」です。これは、ゴータマ=シッダールタが「城の東門で老人,南門で病人、西門で死人を見たあと、北門で修行者に出会った」という有名なエピソードです。
彼はこの経験から、人生で避けることのできない4つの苦しみを説きました。それが、「四苦八苦」です。「生・老・病・死(この世に生まれ出ること、老いること,病気になること,死ぬこと)」。
そして、「愛別離苦(愛する者と別れる苦)」、「怨憎会苦(怨み憎しむ者と出会う苦)」、「求不得苦(求めるものが得られない苦)」、「五蘊盛苦(肉体的欲望に苛まれる苦)」。この8つが、四苦八苦です。
私が最も興味深いと思っているのが、「この世に生まれ、生きていること自体も苦である」と言っているところです。
生きているからこそ死があり、もっと身近な話で言えば、生きているからこそ愛する家族や友達、恋人と別れなければなりません。
さて、ブッダはこの世の苦しみから解き放たれるための1つのヒントを残しています。それが、「苦の原因を知ること」。
そして、この世の苦しみは「自分は○○である」という思い込みからなっていると言います。苦をなくすためには、「永遠に変わらないものはない」と正しく認識する必要があります。
ずっとこの人間関係を続けなければならない、ずっとこの会社・学校で過ごさなければならないという思い込みがあるからこそ、苦しいということですね。