「ネコとノイズキャンセリング」
先日、家電量販店で「ノイズキャンセリング」機能付きのイヤホンを購入しました。
装着して音楽を聴いてみるとびっくり。周囲の雑音がほとんど気になりません。
「これで作業に集中することができる!」と喜ぶのと同時に、「これって人間以外の動物にも付けられるだろうか」と考えました。
例えば私の大好きなネコたちは、多少の「ちゅちゅ」という音声にも耳をぴくっとさせて振り向くほど、音に敏感な動物です。何度も発声すると、嫌そうにこちらを一瞥します。
このイヤホンをネコにつけようとしたとき、これを嫌がるのは容易に想像がつくわけですが、なぜイヤホンを嫌がるのでしょうか。
というのも、このイヤホンを(ネコ用の形状にして)装着することができれば、周囲の音に心を揺さぶられることなく自分の時間を過ごすことができるからです。
ここで、よく言われる説を提示しておきます。それが「ネコが寄ってくるのって『遊んで』っていう意味なんだよ」という考えに対して「なんでそんなことがわかるの?餌がもらえるからでしょ?」という議論です。いったんこれは置いておきます。
「ふつうに考えて」、ネコにイヤホンを装着させようとしたときに「何か耳につけられること自体がイヤだから」というのが理由に値しそうです。
しかし、もしかしたらネコが「イヤホンをつけることによって周囲の音を楽しめなくなるから」という理由もあげられるでしょう。そしてこの理由は「すぐに却下」されます。
考えたいのは「ふつうに考えて」の部分と「すぐに却下」です。
真相は、はっきりいってネコに聞かなければわかりません。否、仮にネコの音声(鳴き声など)を言語化できたとしても、ネコがウソをつく可能性もあるので、「わからない」というのが正解のはずです。
しかし人間たちは、「ネコの考えていることなどわからない」という前提に立ちながらもなお、「イヤホンを嫌がるのはそもそも耳に何かつけられるのがイヤだから」と推論し、「周囲の音を楽しめなくなるから」という予想を「すぐに却下」するのです。
先述した「ネコが寄ってくる」ことに関しても、「『遊んで』っていう意味」なのか「餌がもらえるから」なのかは、本来はわからないはずなのに、どちらかの「もっともらしい」方に傾くのです。
とはいえ、ノイズキャンセリング機能付きイヤホンをネコにおすすめしたいという私の思いは本物です。これは、「ふつうに考え」た結果であり、他のいかなる推論も「すぐに却下」して差し支えありません。