心理学論文や人間関係的考え方を紹介!

2017.8.16~2020.8.31連続投稿(1,112日)。以降は不定期更新です。

「いえいえ待ち」

今回は、私の専門分野である心理学から、日本人の特性についてみていきたいと思います。

 

現在、7時分。リアルタイムでこの記事をご覧くださっている人とLINEができるとして、その方に「今日は早起きですね!」と言ったとします。

 

すると、80%くらいの確率で「いえいえ、そんなことないですよ〜」という返答がかえってきます。

 

もう一つ例を挙げましょう。ある人が仕事のプレゼンで大成功した時、「さすがですね!」と誰かに言われました。すると彼・彼女は「いえいえ、皆さんのおかげですよ!」と返すことが多いです。

 

一般的に、日本人は欧米人に比べて「自己卑下的自己呈示」をする傾向にあるといわれています。これは、「自分を低く見せる」という見せ方の一つで、決して「本当に『自分なんて・・・』と思っているわけではない」ということです。

 

たしかに、自分の業績をひけらかしたり、やたらと自慢したりするような人間は、どこの国・地域に行っても嫌われることが多いでしょう。しかし、あからさまに自己卑下的自己呈示をしすぎるのも考えものです。

 

なぜなら、誰かのポジティブな言葉に対してネガティブに返すのは、間接的にそのポジティブな見方自体を否定することになりかねないからです。

 

さらに、私が特によく思うのは「日本人のいえいえ待ち」です。これは、自ら自分を下げておいて、相手から「いえいえ、そんなことないですよ〜」を引き出すという高等テクニックです。

 

例えば、AさんがBさんにハンバーグを作ってあげたとします。Bさんはお腹もぺこぺこで、Aさんの料理を楽しみにしています。

 

料理が完成し、食卓にハンバーグを持ってきたAさんが「時間かかっちゃってごめんなさい」とか「ちょっとこげちゃってすいません」とか言います。Bさんは無意識的あるいは意識的に「いえいえ、そんなことないですよ〜!」とAさんに言葉をかけてあげます。

 

これです。

 

日本人は、自分自身に対する評価を自ら上げるよりも、自分を一度下げておいて、相手に引き上げてもらうという方略を取る傾向にあるのです。

 

ただ、残念ながらというべきか、日本の企業や学校などの組織風土の中で「こう言われたら『いえいえ』と言うもんだ」というものが出来上がってしまうので、先の例でいう「時間もかかったし焦げ付きもあるが、この手ごねハンバーグは自信作だからおあがりよ」「貴様にはこれくらいの焦げがお似合いだ」なんて言ってしまったらそれはそれでめちゃめちゃ浮きます(多少オーバーな表現となっております)。

 

言葉には、過去の行為に対する解釈を変化させる効果があるので、失敗してしまった後に多用されがちです。逆に、成功した時は行為自体を見てもらえればよいため、口数が少なくてもその成果はしっかりと相手に届きます。

 

このような日本的コミュニケーションがある中、自分一人だけでも「いえいえ待ち」をしないように心がけたいと思っています。自分がされてイヤなことは、人にはしたくないからです。