心理学論文や人間関係的考え方を紹介!

2017.8.16~2020.8.31連続投稿(1,112日)。以降は不定期更新です。

認知的不協和について元の論文を参照しながらわかりやすく解説します。

今回は、社会心理学を勉強する上で欠かせない概念である「認知的不協和」について説明をしていきます。

 

紹介するのはFestinger (1957)の書籍とFestinger & Carlsmith (1959)の論文です。

 

【1. Festinger (1957)より】

冒頭(p.3)でFestingerは基本的な仮説について次のように述べています。

 

The existence of dissonance, being psychologically uncomfortable, will motivate the person to try to reduce the dissonance and achieve consonance.

 

つまり、人間のなかに認知的不協和が生じすると、その不協和を減らして協和を獲得することによって不快感を減らすように動機付けられるということです。

 

さらに、不協和を増加させるような状況や情報は積極的に回避するということです。

 

私たちが何か行動をしようと動機付けられる要因の一つとして、不協和(いくつかの認知の間に存在する不適合な関係)があるとFestingerは論じています。納得ですね。

 

【2. Festinger & Carlsmith (1959)】

Cognitive consequences of forced complianceというタイトルのこの論文では、「実験担当者からの強制的な要求に応じた時に認知にどのような変化がもたらされるのか」について論じられています。

 

実験参加者はスタンフォード大学の心理学コースの71名の男子大学生でした。どうやらこのコースでは、学生は実験に参加することが求められていたようです。

 

実験参加者は「糸巻き(spools)を12個をトレーに置いたり空にしたりする」という謎の作業などを1時間行います。

 

統制条件もあるのですが、ここでは実験条件について二つ説明しておきます。

 

1ドル条件・20ドル条件のどちらかに分類された学生は、「次に実験室に来る女子学生に、この作業が面白かったこと(e.g., "It was very enjoyable)を伝える」ことを指示され、その発言に対する謝礼としていずれかの報酬を受け取ります。

 

そして実際に女子学生が来たところ、実験参加者は指示通りに「面白かったよー」と言うのですが、女子学生が自身の友達を引き合いに出して「その友達はこの実験が退屈だと言っていたよ」などと言います(もちろんこの学生はいわゆるサクラ、実験協力者です)。

 

ここでほとんどの実験参加者は、

 

"Oh, no, it's really very interesting. I'm sure you'll enjoy it." という風に、

 

ウソをつきまくりました。

 

最後にこの作業の面白さなどについて尋ねてこの実験は終了です。

 

この結果、20ドル条件の実験参加者は、作業は面白くもつまらなくもないという評価を平均的にしていました(評価が-5から+5のところ、-.05)。

 

他方、1ドル条件の実験参加者は、「作業は面白かった」よりの回答をしていたのです(+1.35)。

 

この実験から言えることは、作業がつまらなかったという事実・結果に対して、20ドル条件の実験参加者は「まあ20ドルももらえたしな」と満足し、事実通りにつまらなかったと解釈しても問題ないということ。

 

そして、大事なのは1ドル条件です。

 

つまらないことを1時間もやってウソまでつかされて、1ドルしかもらえなかった人たち。

 

1ドルをもらったという事実を変えることはできません。

 

よって、「意外と面白かった」と解釈し直すことによって、1ドルという低い報酬でも「楽しかったんだからいいじゃん」と思い直したということです。

 

 

【参考にした文献】

Festinger, L. (1957). A theory of cognitive dissonance. Stanford University Press.

Festinger, L. & Carlsmith, J. M. (1959). Cognitive consequences of forced compliance. Journal of Abnormal and Social Psychology, 58, 203-210.