心理学論文や人間関係的考え方を紹介!

2017.8.16~2020.8.31連続投稿(1,112日)。以降は不定期更新です。

自尊心が高すぎると失敗するというお話

人間関係的ミニマリストを目指すためには、誰かとつるむことがなくても自分自身に自信を持つ必要があります。

 

そして、よく「自信を持ちなさい」という言葉を聞きますが、本当に「自信を持つこと」は素晴らしいことなのでしょうか?

 

ここでは自尊心(self-esteem)についてのお話をしていきます。自尊心とは簡単に言えば「自分を大切にする気持ち」と「自分が優秀だと思う気持ち」の2種類に分かれる概念であり、前者は持っていても全く問題ないですが、後者は過剰になるとしばしばリスクを伴うことが明らかになっています。

 

ここではBaumeisterらの1993年の研究をみていきます。

 

Baumeisterらは、自尊心が高い人の「自分自身に対して評価を上げすぎたり良い予測をしすぎたりする傾向」がキャパオーバーの仕事を招き、結果的に失敗するということを主張しています。

 

実験ではどうやらSky Jinksという飛行機操縦のビデオゲームが使われており、特にスピードが速い場合は操縦するのが難しいものだそうです。

 

実験参加者(原文ではsubjectですが)は20分間ゲームの練習をしました。その後トライアルを10回行い、クラッシュした回数や最終スコアなどを実験担当者(experimenter)が記録していました。

 

10回のトライアル後、実験担当者は基準となるスコアを提示し、ラストチャンスとしてこのスコアを超えることができれば2ドルもらえると教示しました。

 

しかしながら、実験参加者はもっと上の目標(challenging goal)を設定する機会を得ます。具体的には、1秒速ければ3ドル、2秒速ければ4ドルといったように報酬が増額しますが、実験参加者自身が設定した目標をクリアできなければ報酬はゼロとなるということです。

 

実験参加者のうち半分は、自己脅威条件(ego-threat condition)に振り分けられました。この条件では、実験担当者

 

"Now, if you are worried that you might choke under pressure or if you don't think you have what it takes to beat the target, then you might want to play it safe and just go for the two dollars. But it's up to you."

 

と付け加えます。簡単に言えば「プレッシャーに負けそうなのであれば低めの目標にしてもいいんだよ」ということです。これが自己脅威になるということですね。

 

統制条件では、単純に目標を選んでもらいました。

 

分散分析(ANOVA)を行った結果、自尊心と自己脅威との間に有意な交互作用が認められました(F(1,31) = 5.81, p < .05)。

 

具体的には、自尊心が高い群は低い群よりも、自己脅威があったときの最終スコアが有意に低かったということです。統制条件ではこのような結果は得られませんでした。

 

総合考察では、自尊心が高い人は自己脅威がない場合には効果的なself-managementを行うことができるが、自己脅威が発生するとそれが消えてしまい、届きそうもない目標を設定してしまうと書かれています。

 

自分に自信がありすぎると、それが脅威にさらされた時に「そんなことない!」と思ってしまうようですね。

 

【参考にした文献】

Baumeister, R. F., Heatherton, T. F., & Tice, D. M. (1993). When ego threats lead to self-regulation failure: Negative consequences of high self-esteem. Journal of Personality and Social Psychology, 64, 141–156.