心理学論文や人間関係的考え方を紹介!

2017.8.16~2020.8.31連続投稿(1,112日)。以降は不定期更新です。

社会的痛みと身体的痛みが同じ部位を刺激するなら、鎮痛剤飲んで排斥の痛みを消せるのでは?という面白すぎる研究

今回は、私自身が読んできた論文の中でも5本の指に入る面白さの研究を紹介します。

 

前回の記事では、身体的痛みと社会的痛みを同じ脳の部位が感じるという論文を紹介しましたが、この実験を踏まえてDeWall et al. (2010)は「身体的痛みを抑える物質を投与すれば、社会的痛みをも抑えるのか?」という研究を行いました。

 

実験参加者は3週間、ある薬を飲み続けます。ここで2つのグループがあり、一方はアセトアミノフェン(解熱鎮痛剤)、もう一方はプラシーボを服用します。

 

(原文アブストラクトより:In two experiments, participants took acetaminophen or placebo daily for 3 weeks.)

 

すると、アセトアミノフェンを服用したグループでは、社会的痛みの報告が減少したということです。fMRIで測定しても、社会的排斥に対する脳の部位の反応が抑えられたということです。

 

これらの実験から、身体的痛みと社会的痛みのオーバーラップが確認されました。大変面白い視点です。

 

中枢系に作用する鎮痛剤が社会的痛みにも効果をもたらすという実験は決して「じゃあ排斥されたら薬を飲もう」ということを言いたいのではなく、神経科学的に痛みについての研究が前進したという主張が重要です。

 

【参考にした文献】

DeWall, C. N., MacDonald, G., Webster, G. D., Masten, C., Baumeister, R. F., Powell, C., Combs, D., Schurtz, D. R., Stilman, T.F.,  Tice, D.M., & Eisenberger, N. (2010). Acetaminophen reduces social pain: Behavioral and neural evidence.
Psychological Science, 21, 931–937.