心理学論文や人間関係的考え方を紹介!

2017.8.16~2020.8.31連続投稿(1,112日)。以降は不定期更新です。

「女性は数学が苦手である」の意味とは?(社会心理学的な視点から)

私たちは、偏見や先入観によって自らのパフォーマンスを下げてしまうことがあります。

 

今回は「女性は数学が苦手である」というステレオタイプによって、実際に数学の成績が下がってしまうという極めて社会心理学的な研究をご紹介します。

 

Spencer, S. J., Steele, C. M., & Quinn, D. M. (1999, Study 2)では、ステレオタイプ脅威が女性の数学成績に及ぼす影響が検討されました。

 

関連性あり条件(relevance condition)では、過去にこのテストが性差を示したことがあることを実験参加者が告げられます。

 

統制条件ではそのような情報は告げられません。

 

ちなみに実験参加者は大学の成績などである程度数学ができる人たちが選ばれているようです。

 

結果としては、性差がないという情報を得た女性実験参加者は、男性実験参加者と成績に有意差が認められないのに対し、性差があるという情報条件では女性の方が男性よりも有意に成績が低かったということです。

 

Study 3では、「性差がない」とあえて伝える群と、何も伝えない群(性差があるともないとも言わない;統制条件)に分けました。一般的に女性は男性よりも数学の成績が低いという期待(ここでいう期待はポジティブなものを待つものではなく予測のようなものです)をしていることからこの実験がデザインされました。

 

すると、Study 2と同様に、「性差がない」と告げられた群では成績に性差が認められなかったのに対し、統制条件では女性の成績が男性の成績よりも低かったということです。

 

苦手というステレオタイプが、実際の成績の低さを予測するという、ちょっと怖い研究でした。

 

【引用文献】

Spencer, S. J., Steele, C. M., & Quinn, D. M. (1999). Stereotype threat and
women’s math performance. Journal of Experimental Social Psychology, 35, 4–28.