心理学論文や人間関係的考え方を紹介!

2017.8.16~2020.8.31連続投稿(1,112日)。以降は不定期更新です。

失敗は成功の母じゃないらしいという研究をご紹介します。

私たちはよく、失敗を通じて成功への道を歩んでいき、過去の失敗は決して無駄なものではないと信じています。

 

これは迷信なのか。真理なのか。

 

科学的根拠は果たしてあるのか。

 

今回は「失敗は成功の母じゃないらしい」ことについて、Psychological Scienceという雑誌から研究をご紹介します。

 

シカゴ大学のEskreis-Winkler & Fishbach (2019)によれば、失敗は新たな教えになるどころか、むしろ学習を台無しにするようです。

 

5つの実験を通じて、失敗は学習をそれほど促進しないことが検証されています。

 

実験参加者は二者択一のクイズに答え、その後正解(成功フィードバック)か不正解(失敗フィードバック)かが伝えられます。

 

そして、選択肢が2つしかありませんので、両方とも正解を伝えていることになります。

 

次にフォローアップのテストを実験参加者にさせたところ、彼らは成功フィードバックよりも失敗フィードバックにおいて、あまり学習していなかったというのです。

 

この結果は、失敗から学ぶ方が認知的負荷が少ない場合でも、学習にそもそもモチベーションが湧かない状況でも再現されました。また、失敗フィードバックを受け取った場合には正解についてあまり覚えていなかったようです。

 

この理由についてEskreis-Winkler & Fishbach (2019)は、失敗が自己脅威であり、失敗したものについて人間が関心を持たないようにすると論じています。

 

しかし、興味深いことに、私たちは自らの失敗からはあまり学びませんが、他者については、その成功と失敗から同じくらい学んでいるというのです。

 

つまり、自己に関する関心(ego concerns)が消えると、人は失敗からも学ぶのです。

 

筆者なりの解釈で言えば、「自らの失敗は成功の母じゃないけれど、他人の失敗は成功の母だ」ということでしょうか。

 

こちらの内容について、YouTubeでもお話していますのでもしよろしければご覧ください。

 

www.youtube.com

 

歴史上の偉人の失敗、友人の失敗、家族の失敗を見て、「自分自身ではない」ことから多くを学ぶことができそうですね。

 

【引用文献】

Eskreis-Winkler, L., & Fishbach, A. (2019). Not Learning From Failure—the Greatest Failure of All. Psychological Science, 30, 1733-1744.