心理学論文や人間関係的考え方を紹介!

2017.8.16~2020.8.31連続投稿(1,112日)。以降は不定期更新です。

「この人」と比較すれば、健全に頑張れる。

下方比較(downward social comparisons)とは自分の優れている部分について他者と比較することを指します。


西洋社会では下方比較が子どもたちに誇り感情をもたらすことが多く見られていますが、この比較によって他者よりも優れた存在でありたいという願望をもたらすようです。

 

このような優越性への願望なしに、子どもたちが自分を誇ることができるようになるのか。これが今回の研究のご紹介です。

 

Gürel et al. (2020)の研究では、時間的な下方比較(downward temporal comparisons)の有用性が検討されています。

 

この時間的な下方比較は、他者とではなく、「昔の自分」と今の自分を比較することを指します。

 

これにより、自分自身について誇りを持てるだけでなく、自分を洞察する感覚や進歩しているという感覚を得ることができるようです。

 

583名の子どもの実験参加者を対象とした実験の結果、一般的な下方比較および時間的な下方比較の両方が誇り感情をもたらしましたが、時間的な下方比較のみが、優越性目標を引き起こすことなく誇り感情をもたらしたことが示されました。

 

そしてこの効果は約8歳から16歳まで幅広い年齢の子供たちの間で確認されたということです。

 

一般的な社会的比較は、対人関係的な競争に寄与する一方で、時間的な比較はそのような競争から、過去の自分自身よりも良くなろうという目標へとシフトさせてくれるようです。

 

【引用文献】

Gürel, Ç., Brummelman, E., Sedikides, C., & Overbeek, G. (2020). Better than my past self: Temporal comparison raises children’s pride without triggering superiority goals. Journal of Experimental Psychology: General, 149(8), 1554–1566.